梵鐘の話しあれこれ・・・・梵鐘にまつわるお話、つれづれに集めてみました。
●梵鐘とは
寺院で用いられる最も大きな法具です。本来その大音声で仏の功徳を現す道具とされますが、近年では時を告げたり除夜の鐘のように一年の煩悩をはらす道具として、また広島平和の鐘のように哀悼・鎮魂の鐘としても用いられます。
梵は梵語で限りなく清浄なものを意味し、あたりの空気を清め、余韻のなかにお参りする気持ちを込めます。通常涅槃の状態(夢とうつつの中間の状態)におられる仏様に向かって今からお参りをいたしますという合図をおくるという意味もあります。
●梵鐘の各名称
日本の梵鐘(和鐘)は、下向きで中空のコップ形の鐘身と、鐘身を吊るすために上部に付けられる竜頭からなります。
和鐘の形状は大体同じですが、細部は時代により異なります。
●梵鐘の音
梵鐘の音は古来諸行無常の音として祇園精舎の病僧の心を癒したとされています。黄鐘、壱越といった梵鐘の音階が耳に心地よいことに加え、最近、余韻の中に含まれる『1/fゆらぎ』が心身をリラックスさせることが科学的に証明されました。小川のせせらぎや小鳥のさえずりなどと同じくストレスを癒すリラクゼーションサウンドです。
●梵鐘の功徳
他にも伝えられる梵鐘の功徳は多く、撞木と梵鐘の形や音から安産祈願や夫婦円満に効能ありともいわれます。製作工場では自分の菩提寺の梵鐘の鋳込み(火入れ式)に立ち会いその煙をかぶると福寿長命が叶うといわれています。いずれも俗説ですがそれぞれに逸話をもって伝えられています。
●高岡山瑞龍寺と梵鐘
高岡の開祖で瑞龍寺を菩提寺とされる加賀藩二代藩主前田利長公は高岡の殖産興業のため鋳物産業を育成保護しました。高岡は現在、日本一の銅器の産地となり、梵鐘はその代表的な製品として全国津々浦々で撞き鳴らされています。瑞龍寺に現存する梵鐘は室町末期のものとされ高岡鋳物師の源流となる作です。
●梵鐘型火消し壺(マッチ消し・タバコ入れ・小物入れ)
昔、日本の禅寺で鐘をならしたおかげで中国のお寺が大火事をまぬがれたという故事にならい、火事の連絡や用心に半鐘が用いられるようになりました。
夜警の手振鈴や火を使うお店に贈る火伏せ、火の用心の鐘へと形を変えました。
梵鐘型火消し壺(マッチ消し)はお仏壇の脇に置きマッチやろうそくの燃えかすをお入れ下さい。またタバコ入れ、小物入れとしてもお使い下さい。
●「つり銭」と書いて「つりがね」貯金箱
寺や家で鐘を撞くと「金を家に打ち込む」とか「金が成る」といって福財繁栄するといわれます。また「つり銭」と書いて「つりがね」と読み、つり銭とつり鐘を大切にして富を築けと教えます。梵鐘型の貯金箱を手元に置いてつり銭を貯めましょう。百円硬貨でちょうど二万円貯まります。机の上においてペーパーウエイトとしてもお使い下さい。